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NZ's Superb Red Wines (AKA - The Visionary Goats of Northland)

ソーヴィニヨン・ブランで、一躍世界的に有名になったニュージーランドワインは、昔々、南島北部マールボロ地方の手付かずの土地に、まるで魔法のように原生していたぶどうの果実から、好奇心旺盛な天使たちが果汁を発酵させてボトルに詰め、スクリューキャップで栓をしたことから始まった・・・というのは全くのファンタジー。実際は、天使もいないし、ソーヴィニヨンブランも原生していたわけではありません。ニュージーランドワインの本当の歴史は、1819年に北島北部のノースランドで、様々なブドウの品種が植樹されたことから始まりました。


ニュージーランドワインの歴史の第一幕を少しだけ紐解いてみましょう。


ニュージーランドに初めて辿り着いたブドウの木は、ヨーロッパからやってきました。船旅の間、大切に管理され、船の上ではたっぷりと太陽を浴び、愛情を込めて水を与えられ、長い旅の末、ノースランドの地に根を下ろし、見事な果実を実らせます。やがてその果実は、ついに見事なワインに姿を変える・・・ことなく、なんと、旅を共にしたヤギに食べられてしまったのです。“本当の”初ヴィンテージは幻となりました。


ワイン造りの歴史は、一歩目から茨の道の連続でした。


二世紀ほど遡った頃の話です。


やっとのことで辿り着いたノースランドの地で初めて実ったブドウを食べたヤギは、先見の明がありました。植樹されたの数々の品種には、将来世界に知れ渡ることになる白ブドウだけでなく、(赤ワインに使われる)黒ブドウもありました。さすが長旅を乗り越えてきた強者のヤギ。ニュージーランドの土壌で育つブドウの質の高さを見抜いていたのです。収穫される直前に、ちゃっかり白ブドウも・黒ブドウも味わったのでした。


昨今、セントラル・オタゴ、北カンタベリー、マーティンボロなどのニュージーランド産ピノ・ノワール(ピノ・ノワールは冷涼な気候を好むとされています)が、ソーヴィニヨンブランに続き世界的に有名になりましたが、実は最近は、温暖な気候に適した品種のニュージーランドワインが、世界中の審査員やワイン愛好家をうならせています。


・・・と、言うは易し!具体例をお話ししましょう。


カベルネソーヴィニヨンやメルロー。温暖な気候を好むこの品種のブレンドを味わえば、アオテアロア(マオリ語でニュージーランドという意味。NZ人たちは誇りを込めて自国をこう呼びます。)が世界の大御所ワインと肩を並べるワインを生産していることをお解り頂けると思います。世界で実際どのように評価されているかをご紹介しましょう。


デカンタマガジン ワインレジェンド


世界中のワイン通が購読するワイン雑誌であるDecanter Magazineで「レジェンド」として認められたワインは別格です。このステータスを獲得すると、世界中で人気を博し入手困難必至、高級ワインリストの最上位に名前を連ね、価格は車一台に匹敵することも稀ではありません。レジェンドに名を連ねるのは、(残念ながら私のお財布では)一生に一度味わえるかどうか、というようなワインばかり。

ドメーヌ・ド・ラ・ロマネ・コンティ・リシュブール1959年

シャトー・ラトゥール1961年

シャトー・ディケム1921年

テ・マタ・エステート・コルレーン1998

・・・?

・・・!!


そう!ホークスベイ!

見紛う事勿れ。


ワイン好きなら一度は夢見るボトルたちと肩を並べるのは、ニュージーランド北島中心部に位置するホークスベイのワインなのです。


テ・マタ・エステート・コルレーン1998


ホークスベイ


ご存知ない方にはぜひ知って頂きたい、北島の東側に位置し、太平洋からまっすぐに流れてくる安定した潮風の恩恵を受ける土地、それがホークスベイです。Te Awanga(テ・アワンガ)、Gimblett Gravels(ギムレットグラベル)、Bridge Pa Triangle Sub-Regions(ブリッジ・パ・トライアングル)などがあり、静かなHavelock North(ハブロックノース)の町からすぐのところに、Te Mata Estate(テ・マタ・エステート)はあります。


ホークスベイのカベルネブレンドは、現地のセラードア(ワイナリーに併設され、ワインの試飲や購入ができる施設)では現在のヴィンテージで1本6,000円ほどで購入できます。それほど手頃なワインが、例年、50倍以上の価格のボトルたちと肩を並べて評価されているのです。


ワイヘキ島


ハウラキ湾に浮かぶワイヘキ島は、オークランドのダウンタウンからフェリーで35分ほどの距離。 この亜熱帯の楽園は、ニュージーランド最大の都市を訪れる人に、街中の観光など差し置いて真っ先に訪れてほしい場所です。ワイヘキは私が今まで訪れた中で最も美しい場所のひとつであり、ブッシュウォークには最適で(アオテアロアには蛇がいないので安全

ぜひお伝えしたいのはその気候。ワイヘキ島の海洋性気候は、フランスのボルドーととても似ていると言われています。


テ・モトゥ 1998年



先日、ワイヘキ島にあるワイナリー、テ・モトゥのオーナーである、ポール・ダンリービー氏と、ワインを味わう機会がありました。彼は、この驚嘆すべきワインを誇りに思う、と話してくれました。「テ・モトゥ」とはマオリ語で「島」を意味し、ワイヘキが海に囲まれていることを表していますが、同時に、彼のブドウ畑がある特別な区画の名前でもあります。 島の中の島、というわけです。


テ・モトゥのワインは『1001 Wines You Must Try Before You Die』(死ぬ前に飲むべき1001ワイン)という本に掲載されました。(当時)50ドル以下で買えるワインにとって素晴らしい結果です。また、権威あるフランスの雑誌「La Bottin Gourmand」が、世界一のボルドースタイルワインを特集した際にも、1998年ヴィンテージのテ・モトゥは、オーストラレーシアから唯一リストインし、世界13位と評価されました。


もう一本、この記事の締めくくりにご紹介するのは・・・

デスティニー・ベイ・マグナ・プレマ 2013年


西オーストラリアのマーガレット・リバーは、大陸の南西部に位置する美しい場所で、オーストラリアで最も優れたワイン(特にシャルドネとカベルネのブレンド)が生産されています。この地域で尊敬されている生産者の一人ケープ・メンテル氏は、毎年、ワイン界の著名人を招いて、世界最高のボルドーブレンドを決めるブラインド・テイスティングを行っています(私の招待状をお待ちしています!)。



2017年のテイスティングに招待された中に、元『Wine Enthusiast』のマネージング・エディターで、現在はロバート・パーカーの『The Wine Advocate』のマネージング・エディターであるジョー・ツァーウィンスキー氏の名前がありました。 Magna Praemaをテイスティングした彼のノートにはこう書かれていました。


「トースティーで杉のようなオーク。ダークフルーツ。ビロードやベルベットを思わせる。長いフィニッシュにはチョコレートとプラムを感じる。カリフォルニアか?」


彼は、このワインがカリフォルニアの上質ワインだと思ったようです。このブラインドテイスティングには、カリフォルニアの上質ワイン、シャトー・オー・ブリオン、オーストラリア産のトップ4が並んでいましたが、ジョーはその中で、マグナ・プレマをトップだと評価しました。


マスター・オブ・ワイン、かつマスターソムリエであるジェラール・バセット氏は、「デスティニーベイ・マグナプレマは、(ボルドーの)五大シャトーもしくはスーパータスカンのようにエレガント。デスティニーベイのワインは、どれも気品があり正に美味」と評しました。


個人的には、上記の評価は、デスティニーベイのみならず、ニュージーランドのプレミアムレベルのカベルネ・メルローブレンドのどのワインにも当てはまると思います。


蛇がいない安全で美しい自然が広がり、ビーチでフィッシュ&チップスと素晴らしいワインを楽しめる、ましてやテ・モトゥやデスティニーベイのような素晴らしいワイナリーがあるワイヘキ島に、訪れない理由はありませんね。


今回、私が選んだ3つのワインはニュージーランドを代表するボルドーブレンドのワインですが、上質なワインはこれに止まりません。


カベルネソーヴィニヨンやメルローなどのボルドーブレンド品種は、温暖な気候を好む品種ですが、ニュージーランド国内北から南まで(南半球は南に行くほど寒いことをお忘れなく!)、北はオークランドの北に位置するマタカナのプロヴィンス・ヴィンヤードから、南はノースカンタベリー(ボルドー品種が十分に成熟できるヴィンヤードの南限と言われています)まで、様々な地域で、高品質なカベルネソーヴィニヨンやメルローが栽培され、素晴らしいワインが生み出されています。


冒頭でお話ししたあのヤギたちは、まさしく「ヴィジョナリー」な嗜好を持っていたのですね。



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Sulphur in your wine? What’s the real story? ワインと硫黄の問題 決して誤解のないように。私はここで「自然派ワイン」を批判するつもりはありません。個人的にも、「自然派ワイン」を作っている友人がいますし、自然派ワインとして流通しているもので、大好きなものもあります。むしろ、私が一番飲みたくないのは、加える必要のない化学物質がたくさん入っているワインなのです